投機家、投資家ともに、新しいポジションを作りはじめることが多く、値動きが大きくなることも少なくない「1月相場」
今回は、そんな1月相場の実態を探るべく、1997年から2017年までの「1月」の豪ドル・米ドル相場が、どんな値動きをしてきたのかを実際のデータをもとに検証してみました。
早速、見ていきましょう。
1997年~2017年における1月の豪ドル・米ドル相場
まず、最初にご覧いただくのは、1997年から2017年までの1月の豪ドル・米ドル相場が豪ドル高、豪ドル安のどちらに動くことが多かったかを単純にカウントしてみた表になります。
1997年から2017年の月足チャートは下記の通りです。
データ出所/GMOクリック証券
そして、上記のチャートから毎年1月の始値と終値を抽出して、その結果が豪ドル高だったのか、豪ドル安だったのかを時系列でまとめたものが下記の表になります。
1月の豪ドル米ドル相場 | レート(始値⇒終値) | 結果 |
---|---|---|
1997 | 0.79440⇒0.76210 | 豪ドル安 |
1998 | 0.65080⇒0.68450 | 豪ドル高 |
1999 | 0.61230⇒0.63030 | 豪ドル高 |
2000 | 0.65650⇒0.63660 | 豪ドル安 |
2001 | 0.55900⇒0.55090 | 豪ドル安 |
2002 | 0.51030⇒0.50640 | 豪ドル安 |
2003 | 0.56050⇒0.58730 | 豪ドル高 |
2004 | 0.75150⇒0.76380 | 豪ドル高 |
2005 | 0.78010⇒0.77540 | 豪ドル安 |
2006 | 0.73240⇒0.75790 | 豪ドル高 |
2007 | 0.78910⇒0.77300 | 豪ドル安 |
2008 | 0.87680⇒0.89550 | 豪ドル高 |
2009 | 0.70490⇒0.63490 | 豪ドル安 |
2010 | 0.89845⇒0.88360 | 豪ドル安 |
2011 | 1.02015⇒0.99720 | 豪ドル安 |
2012 | 1.02171⇒1.06194 | 豪ドル高 |
2013 | 1.03942⇒1.04224 | 豪ドル高 |
2014 | 0.88836⇒0.87543 | 豪ドル安 |
2015 | 0.81810⇒0.77642 | 豪ドル安 |
2016 | 0.72835⇒0.70835 | 豪ドル安 |
2017 | 0.71800⇒0.75826 | 豪ドル高 |
こうして並べてみますと、幾つか興味深い傾向があることが分かります。
まず、目を引くのが2009年から2016年までの8年間のうち、6年が陰線、つまり豪ドル安で終わっているという点です。
2009年から2016年と言えばリーマンショック”後”の8年間で、欧州の財政危機に端を発する金融危機、そして、アメリカのテーパリングからのドル買い、関係の深い中国経済の失速、オーストラリアの金融緩和拡大などが相次いで起きた時期で、75%の確率で豪ドル安が起こっているというのは、ファンダメンタルズに素直にに反応しているという意味でも、特筆すべき点と言えるかと思います。
また、さらに遡って豪ドル・米ドルの動きを見てみますと、世界的な景気回復による株高、資源高が続いた2003年から2008年の6年間では、6年中4年が豪ドル高となっておりまして、ここでも、マーケットのリスクに対する雰囲気が如実に反映された結果となっていることが分かります。
そして、ここ20年の1月の豪ドル・米ドル相場の豪ドル高、豪ドル安の回数をまとめた表は下記の通りです。
1月の豪ドル米ドル相場 | 豪ドル安に終わった回数 | 豪ドル高に終わった回数 |
---|---|---|
1997-2017 | 12回 | 9回 |
1997年から2016年の20年間については、回数としては、やや豪ドル安が優勢といった結果に終わっています。
では、続いて、その中身について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。
1997年~2017年における1月の豪ドル・米ドル相場の変動幅と変動率
それでは、今度は豪ドル・米ドルの1月相場がどのくらいの変動が起こっているのか、つまり、ボラティリティがどれくらいなのかということを検証していきたいと思います。
その検証を行うために、上記のチャートから、各年の高値と安値を抽出してまとめた表が下記になります。
1月の豪ドル米ドル相場 | 高値 | 安値 |
---|---|---|
1997年 | 0.79460 | 0.75900 |
1998年 | 0.68750 | 0.63150 |
1999年 | 0.64600 | 0.61120 |
2000年 | 0.66850 | 0.62250 |
2001年 | 0.57240 | 0.54050 |
2002年 | 0.52700 | 0.50520 |
2003年 | 0.59400 | 0.56050 |
2004年 | 0.78110 | 0.75000 |
2005年 | 0.78330 | 0.75050 |
2006年 | 0.75850 | 0.73130 |
2007年 | 0.79760 | 0.77200 |
2008年 | 0.90180 | 0.85120 |
2009年 | 0.72650 | 0.63440 |
2010年 | 0.93279 | 0.88330 |
2011年 | 1.02231 | 0.98033 |
2012年 | 1.06866 | 1.01450 |
2013年 | 1.05976 | 1.03733 |
2014年 | 0.90853 | 0.86598 |
2015年 | 0.82943 | 0.77197 |
2016年 | 0.73004 | 0.68267 |
2017年 | 0.76084 | 0.71798 |
ご覧いただくとお分かりの通り、1ヶ月の間に、かなり大きな値動きをしている月が複数存在しまして、例えば、アメリカの金融危機が陰の極みに達する直前の2009年の1月には高値0.72650から安値0.63440まで、1ヶ月の間に「12.7%」の”豪ドル暴落”が起こっています。
また、LTCMショックがマーケットを大混乱に陥れ、急激な米ドル買いがマーケットで進んだ1998年の1月には、高値0.68750から安値0.63150まで、1ヶ月の間に「8.2%」の”豪ドル下落”が起こっています。
そして、それらを含めて、豪ドル・米ドルの各年の1月相場の変動幅と変動率をまとめた表が下記になります。
1月の豪ドル米ドル相場 | 変動幅 | 変動率 |
---|---|---|
1997年 | 0.0356 | 4.5% |
1998年 | 0.056 | 8.2% |
1999年 | 0.0348 | 5.4% |
2000年 | 0.046 | 6.9% |
2001年 | 0.0319 | 5.6% |
2002年 | 0.0218 | 4.2% |
2003年 | 0.0335 | 5.7% |
2004年 | 0.0311 | 4% |
2005年 | 0.0328 | 4.2% |
2006年 | 0.0272 | 3.6% |
2007年 | 0.0256 | 3.3% |
2008年 | 0.0506 | 5.7% |
2009年 | 0.0921 | 12.7% |
2010年 | 0.0494 | 5.4% |
2011年 | 0.0419 | 4.2% |
2012年 | 0.0541 | 5.1% |
2013年 | 0.0224 | 2.2% |
2014年 | 0.0425 | 4.7% |
2015年 | 0.0574 | 7% |
2016年 | 0.0473 | 6.5% |
2017年 | 0.0428 | 6.7% |
平均 | 0.0417 | 5.5% |
平均変動幅と平均変動率はそれぞれ「0.0417」と「5.5%」となっておりまして、1997年から2016年のドル円相場の1月の平均変動幅「5.32円」、平均変動率「4.8%」や同期間のユーロドル平均変動幅「0.0629」、平均変動率「5.14%」などと比べますと、互角かそれ以上の大きな値動きとなっています。
参考/ドル円の1月相場は円高?円安?1996年から2015年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/ユーロドルの1月相場はユーロ高?ユーロ安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
1997年~2017年の1月相場の値動きから考える豪ドル・米ドルのトレード戦略
ここまで過去約20年の1月の豪ドル・米ドル相場の動向をご覧いただきましたが、いかがでしたでしょうか。
これまでの傾向に過ぎないという前提はありますが、豪ドル米ドルの1月相場は、2009年から2016年の直近の約8年間や、2003年から2007年の6年間で見られたように、かなりマーケットの雰囲気が素直に値動きに反映されやすい1ヶ月と言えそうです。
仮に、今後もこの傾向が続くということを想定しますと、マーケットで、リスク回避的な雰囲気が強ければ、豪ドルを売って、逆にマーケットのリスク許容度が増しているときは、豪ドルを買うという戦略が基本スタンスとなりそうです。
また、その他には、アノマリーとして陰線や陽線が年またぎで”続きやすい”という特徴がありますので、マーケットのムードに前年と比べて、大きな変化が見られないのであれば、単純に、前年と同じスタンスで臨むというのも、一つの戦略になる可能性があります。
本記事が、FXでトレードをしている人や、これからトレードをしようと考えている人の参考になれば、幸いです。
最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました!