欧米勢の多くの企業にとっては決算月となることから大きな値動きに発展することもある「12月相場」
今回は、そんな12月相場の実態を探るべく、1997年から2016年までの「12月」の豪ドル・米ドル相場が、どんな値動きをしてきたのかを実際のデータをもとに検証してみました。
早速、見ていきましょう。
1997年~2016年における12月の豪ドル・米ドル相場
まず、最初にご覧いただくのは、1997年から2016年までの12月の豪ドル・米ドル相場が豪ドル高、豪ドル安のどちらに動くことが多かったかを単純にカウントしてみた表になります。
1997年から2016年の月足チャートは下記の通りです。
データ出所/GMOクリック証券
そして、上記のチャートから毎年12月の始値と終値を抽出して、その結果が豪ドル高だったのか、豪ドル安だったのかを時系列でまとめたものが下記の表になります。
12月の豪ドル米ドル相場 | レート(始値⇒終値) | 結果 |
---|---|---|
1997 | 0.68190⇒0.65050 | 豪ドル安 |
1998 | 0.62840⇒0.61150 | 豪ドル安 |
1999 | 0.63480⇒0.65630 | 豪ドル高 |
2000 | 0.52840⇒0.55850 | 豪ドル高 |
2001 | 0.52100⇒0.51020 | 豪ドル安 |
2002 | 0.56050⇒0.56050 | - |
2003 | 0.72340⇒0.75160 | 豪ドル高 |
2004 | 0.77270⇒0.78010 | 豪ドル高 |
2005 | 0.73770⇒0.73260 | 豪ドル安 |
2006 | 0.78830⇒0.78390 | 豪ドル安 |
2007 | 0.88270⇒0.87690 | 豪ドル安 |
2008 | 0.65300⇒0.70560 | 豪ドル高 |
2009 | 0.91578⇒0.89589 | 豪ドル高 |
2010 | 0.95854⇒1.02327 | 豪ドル高 |
2011 | 1.02811⇒1.01970 | 豪ドル安 |
2012 | 1.04253⇒1.03922 | 豪ドル安 |
2013 | 0.91280⇒0.89194 | 豪ドル安 |
2014 | 0.84687⇒0.81674 | 豪ドル安 |
2015 | 0.72244⇒0.72849 | 豪ドル高 |
2016 | 0.73835⇒0.72015 | 豪ドル安 |
こうして並べてみますと、幾つか興味深い傾向があることが分かります。
まず、目を引くのが2010年以降の豪ドルの弱さになりまして、2010年から2016年の7年中5年が豪ドル安という結果に終わっています。
ファンダメンタルズ面では、2010年から2016年は、オーストラリアの利下げ、欧州の財政危機に端を発する金融危機などはあったものの、アメリカの長引く金融緩和策によるドル安や株高、資源高など豪ドルにとって追い風も多く、12月相場がここまで豪ドル安に傾くのは、アノマリーが生まれつつあるという見方もできなくありません。
そして、ここ20年の12月の豪ドル・米ドル相場の豪ドル高、豪ドル安の回数をまとめた表は下記の通りです。
12月の豪ドル米ドル相場 | 豪ドル安に終わった回数 | 豪ドル高に終わった回数 |
---|---|---|
1997-2016 | 11回 | 8回 |
1997年から2016年の20年間については、回数としては、やや豪ドル安が優勢という結果に終わっています。
では、続いて、その中身について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。
1997年~2016年における12月の豪ドル・米ドル相場の変動幅と変動率
それでは、今度は豪ドル・米ドルの12月相場がどのくらいの変動が起こっているのか、つまり、ボラティリティがどれくらいなのかということを検証していきたいと思います。
その検証を行うために、上記のチャートから、各年の高値と安値を抽出してまとめた表が下記になります。
12月の豪ドル米ドル相場 | 高値 | 安値 |
---|---|---|
1997年 | 0.68250 | 0.64520 |
1998年 | 0.63800 | 0.60530 |
1999年 | 0.65700 | 0.62950 |
2000年 | 0.56000 | 0.52750 |
2001年 | 0.52170 | 0.50440 |
2002年 | 0.56870 | 0.55610 |
2003年 | 0.75360 | 0.72300 |
2004年 | 0.78400 | 0.74460 |
2005年 | 0.75760 | 0.73260 |
2006年 | 0.79260 | 0.77790 |
2007年 | 0.89070 | 0.85530 |
2008年 | 0.71370 | 0.62890 |
2009年 | 0.93210 | 0.87334 |
2010年 | 1.02548 | 0.95364 |
2011年 | 1.03788 | 0.98603 |
2012年 | 1.05848 | 1.03444 |
2013年 | 0.91677 | 0.88205 |
2014年 | 0.85420 | 0.80877 |
2015年 | 0.73848 | 0.70965 |
2016年 | 0.75242 | 0.71594 |
ご覧いただくとお分かりの通り、1ヶ月の間に、かなり大きな値動きをしている月が複数存在しまして、例えば、リーマンショックから、いち早く立ち直りを見せはじめた2008年の12月には安値0.62890から高値0.71370まで、1ヶ月の間に「11.9%」という”豪ドル急騰”が起こっています。
また、欧州の金融危機がマーケットを混乱の最中にあっても底堅さを見せていた2011年の12月には、安値0.95364から高値1.02548まで、1ヶ月の間に「7.1%」の”豪ドル高”が起こっています。
そして、それらを含めて、豪ドル・米ドルの各年の12月相場の変動幅と変動率をまとめた表が下記になります。
12月の豪ドル米ドル相場 | 変動幅 | 変動率 |
---|---|---|
1997年 | 0.0373 | 5.5% |
1998年 | 0.0327 | 5.2% |
1999年 | 0.0275 | 4.2% |
2000年 | 0.0325 | 5.9% |
2001年 | 0.0173 | 3.4% |
2002年 | 0.0126 | 2.3% |
2003年 | 0.0306 | 4.1% |
2004年 | 0.0394 | 5.1% |
2005年 | 0.025 | 3.3% |
2006年 | 0.0147 | 1.9% |
2007年 | 0.0354 | 4% |
2008年 | 0.0848 | 11.9% |
2009年 | 0.0587 | 6.4% |
2010年 | 0.0718 | 7.1% |
2011年 | 0.0518 | 5% |
2012年 | 0.024 | 2.3% |
2013年 | 0.0347 | 3.8% |
2014年 | 0.0454 | 5.4% |
2015年 | 0.0288 | 4% |
2016年 | 0.0364 | 4.9% |
平均 | 0.037 | 4.8% |
平均変動幅と平均変動率はそれぞれ「0.037」と「4.8%」となっておりまして、値動きの大きい豪ドルドル相場の1月の平均変動幅「0.0417」、平均変動率「5.5%」に比べると、やや大人しい値動きとなっています。
参考/豪ドル米ドルの1月相場は豪ドル高?豪ドル安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/豪ドル米ドルの2月相場は豪ドル高?豪ドル安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/豪ドル米ドルの3月相場は豪ドル高?豪ドル安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/豪ドル米ドルの4月相場は豪ドル高?豪ドル安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/豪ドル米ドルの5月相場は豪ドル高?豪ドル安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/豪ドル米ドルの6月相場は豪ドル高?豪ドル安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/豪ドル米ドルの7月相場は豪ドル高?豪ドル安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/豪ドル米ドルの8月相場は豪ドル高?豪ドル安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/豪ドル米ドルの9月相場は豪ドル高?豪ドル安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/豪ドル米ドルの10月相場は豪ドル高?豪ドル安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/豪ドル米ドルの11月相場は豪ドル高?豪ドル安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
1997年~2016年の12月相場の値動きから考える豪ドル・米ドルのトレード戦略
ここまで過去約20年の12月の豪ドル・米ドル相場の動向をご覧いただきましたが、いかがでしたでしょうか。
これまでの傾向に過ぎないという前提はありますが、2010年以降の豪ドル米ドルの12月相場は、かなり豪ドル安に傾くアノマリーが見て取れます。
ファンダメンタルズ面で、豪ドル買いの材料が少なくなかったことを考慮しますと、直近の12月相場における高確率での豪ドル売りは、注目に値すると言えるでしょう。
とは言いましても、2010年以前は豪ドル高と豪ドル安が交錯した時期が長く続いたこともありましたので、アノマリーを過信することなく、ストップロスとポジションサイズには十分、注意を払っておきたいところです。
本記事が、FXでトレードをしている人や、これからトレードをしようと考えている人の参考になれば、幸いです。
最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました!