FXと外貨預金は、同じ外貨を取り扱っているサービスですが、初心者にとってみると、どっちにメリットがあるの?ということは、分かりにくかったりします。
そこで、今回は編集部がFXと外貨預金の違いを徹底比較。
FXと外貨預金は、どっちにメリットがあり、またどのようなデメリットが存在するのかということを詳しく説明したいと思います。
FXと外貨預金は全くの別物
FXと外貨預金は、外貨を取り扱っているサービスという意味では、比較されますが、その内容は全くの別物といって言いほど内容は異なります。
編集部で、違いを一覧にまとめましたので、下記の表をご覧ください。
FX | 外貨預金 | |
---|---|---|
取引先の金融機関 | FX会社または証券会社 | 銀行 |
取引方法 | 外貨の売り注文も買い注文の両方可能 | 外貨の買い注文のみ |
取引レート | リアルタイムのレートで取引が可能 | 1日1回変更(銀行が指定したレートでの取引) |
取引手数料(スプレッド含む) | 0.27銭~ | 片道1円~ |
取引時間 | 24時間/土日以外は祝日でも取引可能 | 銀行の営業時間のみ |
取引期限 | 期限の定めなし | 外貨定期預金は満期あり |
為替変動による利益 | 円高・円安のどちらでも利益を出すことが可能 | 買ったプライスよりも円安に動いた場合 |
金利収入 | 1日単位で収入を得ることが可能 | 原則、満期時または解約時 |
資金効率 | 個人の場合最大25倍のレバレッジ運用可能 | レバレッジ運用不可 |
取り扱い通貨 | 主要通貨から高金利通貨まで幅広い | 主要通貨のみ |
リスク | 為替変動による損失リスク及びレバレッジ | 為替変動による損失リスク |
リスク管理 | 損失管理が可能 | 短期的な大変動があっても損失管理ができない |
資金の安全性 | 全額または一部信託保全が義務付け | 預金保護制度の対象外 |
それぞれについて、順番に見ていきたいと思います。
取引先となる金融機関
外貨預金では、取引先となるのは主に都市銀行や地方銀行などの銀行に限られますが、FXの場合はDMM FXやGMOクリック証券
といったFX会社やあるいはFXも含めて、株式なども取引できる証券会社が取引先になります。
また、証券会社の中には、外貨預金とFXの両方のサービスを提供している会社もあります。
どちらが人気が高いの?ということですが、DMM FXやGMOクリック証券
は世界のFXの取引量で1,2位を争うまでに拡大しておりまして、FXの人気が急上昇中というのが現状です。
為替市場での取引方法
FXでは、外貨に対して売り注文と買い注文のどちらでも注文をすることができますが、外貨預金では外貨に対しては、買い注文しかできません。
外貨預金は、サービスの性質上、「外貨」を買って預金しておくというサービスになりますので、外貨を売るということそのものが外貨預金ではなくなってしまいますので、買い注文のみということになります。
また、FXでは外貨同士の組み合わせであるユーロ/米ドルといった通貨に対しても、売り注文と買い注文の両方を出すことができたりします。
取引できる為替レート
FXではリアルタイムでの為替レートで取引できるのに対して、外貨預金では銀行が指定した為替レートでの取引しかできません。
FXでは、例えば、夜にヨーロッパやアメリカで重大な経済発表が予定されていて、為替レートが大きく変動することが予想される場合は、その大きな変動を確認した後に、リアルタイムで取引をするといったことも可能になります。
一方、外貨預金の場合は、仮にリアルタイムのレートと乖離があっても、銀行の営業時間中に提示されたレートでしか取引ができません。
取引手数料(スプレッド含む)
FXでは、為替の取引手数料はほとんどの会社が無料となっていまして、その代わりにスプレッドと呼ばれる買値と売値の差額を支払う必要があります。
ただ、このスプレッドは外貨預金に比べると極めて安いコストに抑えられています。
FXでは、1LOT=10,000通貨の取引単位が基本となりまして、例えば、DMM FXでは米ドル/円のスプレッド0.3銭という非常に低いコストで取引することが可能になっています。
一方、外貨預金の場合は、米/ドルを取引するのに片道、つまり、買い注文を出すだけで1円近くのコストがかかります。
上の例で比較しますと、FXの場合は、122万円近くの取引をして、その取引コストが30円程度で約0.025%となっていますが、外貨預金の場合は、122万円の買い注文だけで1%近くの取引コストがかかりますので、FXのコストがいかに低いかということがお分かり頂けるかと思います。
ちなみにFXの取引コストは、株式や商品などの他の金融取引と比べても、群を抜いて安くなっています。
取引できる時間
FXでは、土日を除く平日は祝日であっても取引が可能になっている一方、外貨預金の場合は、銀行が空いている時間しか取引することができません。
FXは日本が平日が祝日であっても取引できるという意味では、株式取引などと比べてもメリットが大きいと言えるでしょう。
取引の期限
外貨預金では、保有した外貨もいつかは満期を迎えて、取引を終了する必要がありますが、FXの場合は、本人が取引するのをやめなければ、ずっとポジションを抱えたままでも問題ありません。
また、シティバンクなどの外国の銀行の日本支店で外貨預金サービスを利用すると、金額によっては口座管理手数料などと称して、手数料が引かれることがありますが、FXでは、ポジションを持っていることでかかる手数料なども、必要ありません。
為替変動による利益
外貨預金では、外貨を買い注文でしか保有することができませんので、為替変動による利益は、円安にならない限り発生しません。
一方で、FXでは、買い注文、売り注文のどちらでも出すことができますので、為替変動の利益は、どんな局面でも狙うことができます。
金利収入を受け取るタイミング
FXではスワップ金利と呼ばれる金利収入を1日単位で受け取ることができますが、外貨預金の場合は、満期のときか、あるいは解約したときしか金利収入を受け取ることができません。
下記は、高金利通貨として知られる南アフリカランドでのスワップ金利の受け取りシュミレーションですが、300万円の元手で毎月、39,000円の金利収入を受け取ることができたりします。
南アフリカランド/円 | |
---|---|
運用資金 | 300万円 |
レバレッジ | 3倍 |
買付レート | 9円 |
保有通貨数 | 1,000,000通貨 |
1日あたりのスワップ額 | +1,300円 |
1ヶ月あたりスワップ額 | +39,000円 |
運用資金の効率性
上の表でも出てきますが、FXでは、個人の場合は最大で25倍のレバレッジをかけて取引することが可能になっておりまして、少ない元手でも大きな取引をすることができます。
例えば、運用資金が10万円で、レバレッジを10倍にすれば、米ドル/円100万円分のポジションを作ることが可能になります。
一方、外貨預金の場合は、レバレッジをかけることができません。
ちなみに、FXでレバレッジ1倍で運用すれば、それは、資金効率という意味では、外貨預金と同じになります。
取引できる通貨
外貨預金では、ほとんどの銀行で、米ドルやユーロ、豪ドルといったメジャーな通貨が中心ですが、FXの場合は、新興国通貨からヨーロッパのマイナー通貨まで非常に幅広い通貨で運用が可能になっています。
FXでは、高い金利を受け取ることができるトルコリラや南アフリカのランドなどといった通貨の取引に加えて、外国通貨同士のポジションも保有することができます。
例えば、日本の金利が上昇しても、金利が安い通貨と金利が高い通貨の通貨ペアを保有することで、その通貨ペアから金利収入を受け取ることが可能になっています。
取引に関するリスク
為替変動によるリスクについては、FXでも外貨預金でも同様の損失リスクがあります。
ただ、FXの場合は、レバレッジをかけることができますので、その分、損失リスクも高くなります。
例えば、運用資金50万円で米ドル/円=100円のレートのときにレバレッジ10倍で保有したところ、1円円高になってしまった場合は、損失も10倍の5万円になります。
取引におけるリスク管理について
外貨預金では、一旦、銀行に預けると解約まではそのポジションは抱えたままになりますので、途中、円高が進んでも解約しない間は、運用資産はどんどん損失を抱えてしまうことになります。
そして、そのまま満期を迎えてしまった場合は、外貨預金ではその損失が実現してしまうということになってしまいます。
一方、FXの場合は、リアルタイムで24時間いつでも取引ができますので、ここまで損が拡大したら、ポジションを閉じるといった風に、リスクを管理することができます。
例えば、FXでは逆指値注文と呼ばれる注文方法がありまして、ある水準まで来ると、そこでポジションを機械的に閉じるというもので、この方法で注文を入れておけば、自分が許容できる損失までに損失を抑えることができます。
資金の安全性
外貨預金は銀行に預け入れた資産ということになりなして、そのお金はペイオフの対象となりますので、仮に銀行が破たんした場合、ペイオフの上限までしか資産は戻ってきません。
しかしFXの場合は、FX会社がお客さんから預かった資産を全額かそれに近い金額を信託銀行に預け入れることが義務付けられておりますので、万が一、FX会社が破たんしても運用資産は全額保証されます。
下はFX会社の大手の財務の健全性を表にしたものになります。
2017年6月時点 | 自己資本規制比率 | 信託銀行 | 資本金 | 上場/非上場 |
---|---|---|---|---|
GMOクリック証券 | 497.0% | 三井住友銀行、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、日証金信託銀行 | 43億円 | 上場 |
DMM FX | 867.2% | 日証金信託銀行、SMBC信託銀行 | 98億円 | 非上場 |
マネーパートナーズ | 450.2% | 三井住友銀行、みずほ信託銀行 | 31億円 | 上場 |
外為どっとコム | 1,105.6% | 三井住友銀行 | 7億7850万円 | 上場 |
SBI FXトレード | 823.3% | 三井住友銀行 | 4億8000万円 | 上場 |
ヒロセ通商 | 320.5% | 日証金信託銀行,SMBC信託銀行 | 7億9066万円 | 上場 |
YJFX! | 1,259.1% | 三井住友銀行、みずほ信託銀行 | 4億9000万円 | 上場 |
まとめ
「FXと外貨預金の違いを徹底比較!どっちがメリットあるの?」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
FXと外貨預金の違いがここまであると、冒頭で「全く別物」と説明させて頂いたことも納得していただけるのではないでしょうか。
外国為替市場で資産運用を行うのであれば、FXが圧倒的に有利という状況になっています。