欧米勢の多くの企業にとって第一四半期の締めであり、日本勢にとっては本決算の締めでもある「3月相場」
今回は、そんな3月相場の実態を探るべく、1997年から2017年までの「3月」のポンドドル相場が、どんな値動きをしてきたのかを実際のデータをもとに検証してみました。
早速、見ていきましょう。
1997年~2017年における3月のポンドドル相場
まず、最初にご覧いただくのは、1997年から2017年までの3月のポンドドル相場がポンド高、ポンド安のどちらに動くことが多かったかを単純にカウントしてみた表になります。
1997年から2017年の月足チャートは下記の通りです。
データ出所/GMOクリック証券
そして、上記のチャートから毎年3月の始値と終値を抽出して、その結果がポンド高だったのか、ポンド安だったのかを時系列でまとめたものが下記の表になります。
3月のポンドドル相場 | レート(始値⇒終値) | 結果 |
---|---|---|
1997 | 1.62700⇒1.63840 | ポンド高 |
1998 | 1.64350⇒1.67260 | ポンド高 |
1999 | 1.59770⇒1.61050 | ポンド高 |
2000 | 1.57860⇒1.59160 | ポンド高 |
2001 | 1.44460⇒1.41560 | ポンド安 |
2002 | 1.41620⇒1.42490 | ポンド高 |
2003 | 1.57260⇒1.58300 | ポンド高 |
2004 | 1.86760⇒1.84610 | ポンド安 |
2005 | 1.92050⇒1.89000 | ポンド安 |
2006 | 1.75310⇒1.73690 | ポンド安 |
2007 | 1.96350⇒1.96750 | ポンド高 |
2008 | 1.98860⇒1.98340 | ポンド安 |
2009 | 1.42880⇒1.43180 | ポンド高 |
2010 | 1.51550⇒1.51816 | ポンド高 |
2011 | 1.62541⇒1.60257 | ポンド安 |
2012 | 1.59103⇒1.60123 | ポンド高 |
2013 | 1.51616⇒1.51987 | ポンド高 |
2014 | 1.67131⇒1.66597 | ポンド安 |
2015 | 1.54164⇒1.48147 | ポンド安 |
2016 | 1.39130⇒1.43590 | ポンド高 |
2017 | 1.23785⇒1.25483 | ポンド高 |
こうして並べてみますと、幾つか興味深い傾向があることが分かります。
ポンドドル相場のここ20年の3月相場の中で、特に目を引くのが、トレンドに対して逆行するような動きが散見されるという点です。
例えば、欧州の財政危機に端を発する金融危機が猛威を奮った時期であり、欧州経済に対する悲観的な見方が多かった2010年から2013年までの4年間では、ユーロがこっぴどく売られる中、トレンドに逆行するかのように、4年中3年がポンド高で終わっています。
また、世界経済が好調に推移し、ポンドの値動きにも関係が深い原油をはじめとする資源高が続いた2003年から2008年にかけても、6年間のうち、4年がポンド安となっておりまして、ここでも3月のポンド相場はトレンドに逆行するような動きを見せています。
その他にも、EU離脱を巡る国民投票で揺れた2016年の3月についても、ポンドが下落トレンドの最中にありながら、逆行高を演じていたりもします。
これらのケースからも、ポンドドルの3月相場については、2000年以降、度々、トレンドに逆行するような動きを見せていることがお分かり頂けるかと思います。
とは言いましても、2014年から2015年のときのように、アメリカが金融緩和から抜け出し、金融引き締めに動き出す機運が盛り上がったときには、トレンドに素直に動くことも確認できていますので、アノマリーとして過信は禁物であることも把握しておきたいところです。
そして、ここ20年の3月のポンドドル相場のポンド高、ポンド安の回数をまとめた表は下記の通りです。
3月のポンドドル相場 | ポンド安に終わった回数 | ポンド高に終わった回数 |
---|---|---|
1997-2017 | 8回 | 13回 |
1997年から2017年の20年間については、回数としては、ややポンド高が優勢といった結果に終わっています。
では、続いて、その中身について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。
1997年~2017年における3月のポンドドル相場の変動幅と変動率
それでは、今度はポンドドルの3月相場がどのくらいの変動が起こっているのか、つまり、ボラティリティがどれくらいなのかということを検証していきたいと思います。
その検証を行うために、上記のチャートから、各年の高値と安値を抽出してまとめた表が下記になります。
3月のポンドドル相場 | 高値 | 安値 |
---|---|---|
1997年 | 1.64700 | 1.58500 |
1998年 | 1.68900 | 1.62850 |
1999年 | 1.64770 | 1.59490 |
2000年 | 1.60060 | 1.56110 |
2001年 | 1.47640 | 1.41480 |
2002年 | 1.43220 | 1.40880 |
2003年 | 1.61540 | 1.55400 |
2004年 | 1.87440 | 1.79040 |
2005年 | 1.93220 | 1.85920 |
2006年 | 1.76200 | 1.72310 |
2007年 | 1.97250 | 1.91810 |
2008年 | 2.03360 | 1.97200 |
2009年 | 1.47770 | 1.36540 |
2010年 | 1.53808 | 1.47810 |
2011年 | 1.63995 | 1.59355 |
2012年 | 1.60364 | 1.56021 |
2013年 | 1.52606 | 1.48309 |
2014年 | 1.67850 | 1.64652 |
2015年 | 1.54289 | 1.46346 |
2016年 | 1.45139 | 1.39039 |
2017年 | 1.26150 | 1.21089 |
ご覧いただくとお分かりの通り、1ヶ月の間に、かなり大きな値動きをしている月が複数存在しまして、例えば、アメリカの金融危機が陰の極みに達し大底からリバウンドを開始することになる2009年の3月には安値1.36540から高値1.47770まで、1ヶ月の間に「7.6%」の”ポンド高”が起こっています。
また、アメリカの利上げ期待が盛り上がりドル高が進んだ2015年の3月には、高値1.54289から安値1.46346まで、1ヶ月の間に「5.2%」の”ポンド安”が起こっています。
そして、それらを含めて、ポンドドルの各年の3月相場の変動幅と変動率をまとめた表が下記になります。
3月のポンドドル相場 | 変動幅 | 変動率 |
---|---|---|
1997年 | 0.062 | 3.8% |
1998年 | 0.0605 | 3.6% |
1999年 | 0.0528 | 3.3% |
2000年 | 0.0395 | 2.5% |
2001年 | 0.0616 | 4.2% |
2002年 | 0.0234 | 1.7% |
2003年 | 0.0614 | 3.9% |
2004年 | 0.0840 | 4.5% |
2005年 | 0.0730 | 3.8% |
2006年 | 0.0389 | 2.3% |
2007年 | 0.0544 | 2.8% |
2008年 | 0.0616 | 3.1% |
2009年 | 0.1123 | 7.6% |
2010年 | 0.05998 | 3.9% |
2011年 | 0.0464 | 2.9% |
2012年 | 0.04343 | 2.8% |
2013年 | 0.04297 | 2.9% |
2014年 | 0.03198 | 2% |
2015年 | 0.07943 | 5.2% |
2016年 | 0.061 | 4.3% |
2017年 | 0.0506 | 4.1% |
平均 | 0.0572 | 3.6% |
平均変動幅と平均変動率はそれぞれ「0.0572」と「3.6%」となっておりまして、1997年から2016年のポンドドル相場の1月の平均変動幅「0.07144」、平均変動率「4.3%」と比べますと、平均値ではそれほど大きく動いているというわけではありません。
参考/ポンドドルの1月相場はポンド高?ポンド安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/ポンドドルの2月相場はポンド高?ポンド安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
1997年~2017年の3月相場の値動きから考えるポンドドルのトレード戦略
ここまで過去約20年の3月のポンドドル相場の動向をご覧いただきましたが、いかがでしたでしょうか。
これまでの傾向に過ぎないという前提はありますが、3月相場は、2003年から2008年や、2010年から2013年、そして2016年で見られたように、相場のトレンドに逆行した動きが出やすい傾向にあることが分かります。
仮に、今後もこの傾向が続くということを想定しますと、ポンドドルの3月相場は、マーケットのムードを考慮しながら、トレンドの反転を狙うというのは有効な戦略の一つとして機能しそうです。
ただし、2014年や2015年のように、反転しないケースもありますので、年初からの動きや直近の動きを見ながら、トレードに臨みたいところです。
なお、3月相場は値動きとしてはそれほど大きな1ヶ月ではありませんが、動くときは、値動きも大きくなりがちなので、ストップロスやポジションサイズについては、十分に注意を払っておきたいところです。
本記事が、FXでトレードをしている人や、これからトレードをしようと考えている人の参考になれば、幸いです。
最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました!