欧米勢の多くの企業にとって第二四半期のスタートであり、日本勢にとっては新年度のスタートでもある「4月相場」
今回は、そんな4月相場の実態を探るべく、1997年から2016年までの「4月」のポンドドル相場が、どんな値動きをしてきたのかを実際のデータをもとに検証してみました。
早速、見ていきましょう。
1997年~2016年における4月のポンドドル相場
まず、最初にご覧いただくのは、1997年から2016年までの4月のポンドドル相場がポンド高、ポンド安のどちらに動くことが多かったかを単純にカウントしてみた表になります。
1997年から2016年の月足チャートは下記の通りです。
データ出所/GMOクリック証券
そして、上記のチャートから毎年4月の始値と終値を抽出して、その結果がポンド高だったのか、ポンド安だったのかを時系列でまとめたものが下記の表になります。
4月のポンドドル相場 | レート(始値⇒終値) | 結果 |
---|---|---|
1997 | 1.63720⇒1.62350 | ポンド安 |
1998 | 1.67230⇒1.67050 | ポンド安 |
1999 | 1.61120⇒1.60900 | ポンド安 |
2000 | 1.59090⇒1.55160 | ポンド安 |
2001 | 1.41420⇒1.43190 | ポンド高 |
2002 | 1.42540⇒1.45720 | ポンド高 |
2003 | 1.58300⇒1.59790 | ポンド高 |
2004 | 1.84600⇒1.77730 | ポンド安 |
2005 | 1.89000⇒1.90830 | ポンド高 |
2006 | 1.73690⇒1.82560 | ポンド高 |
2007 | 1.96900⇒1.99940 | ポンド高 |
2008 | 1.98340⇒1.98630 | ポンド高 |
2009 | 1.43180⇒1.47880 | ポンド高 |
2010 | 1.51811⇒1.52686 | ポンド高 |
2011 | 1.60257⇒1.67044 | ポンド高 |
2012 | 1.60074⇒1.62322 | ポンド高 |
2013 | 1.51977⇒1.55296 | ポンド高 |
2014 | 1.66599⇒1.68713 | ポンド高 |
2015 | 1.48137⇒1.53493 | ポンド高 |
2016 | 1.43590⇒1.46111 | ポンド高 |
こうして並べてみますと、かなり興味深い傾向があることが分かります。
ポンドドル相場の4月相場は2000年以降、なんと17年中、16年がポンド高で終わるという、信じられないような状況になっています。
NY同時多発テロ、ITバブル崩壊、世界的な好景気と資源高、サブプライムローン危機、欧州の財政危機に端を発する金融危機、イギリスのEU離脱を巡る国民投票、米ドル独歩高などポンドにとって、追い風、あるいは逆風となる様々な要因があったにも関わらず、2000年以降、4月相場については約94%もの確率でポンド高で終わっているのは驚異的としか言いようがありません。
その背景には、”偶然”が重なったアノマリー的な要素も、もちろんあるかと思いますが、季節要因として産業界からの”実需”がそうした傾向を生み出している可能性は十分、考えられます。
例えば、ドル円の8月相場がそうであるように(1997年以降の20年のうち70%に相当する「13年」が円高になっている)、流動性が下がったりする場合や実需の動きなどが色濃く相場に反映される場合は、為替相場がどちらか一方的に傾く傾向にあるということは、決して少なくありません。
参考/ドル円の8月相場は円高?円安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
ポンドドルの4月相場については、そうした1ヶ月である可能性が極めて高いと言えるかと思います。
そして、ここ20年の4月のポンドドル相場のポンド高、ポンド安の回数をまとめた表は下記の通りです。
4月のポンドドル相場 | ポンド安に終わった回数 | ポンド高に終わった回数 |
---|---|---|
1997-2016 | 5回 | 15回 |
1997年から2016年の20年間については、回数としては、圧倒的にポンド高が優勢といった結果に終わっています。
では、続いて、その中身について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。
1997年~2016年における4月のポンドドル相場の変動幅と変動率
それでは、今度はポンドドルの4月相場がどのくらいの変動が起こっているのか、つまり、ボラティリティがどれくらいなのかということを検証していきたいと思います。
その検証を行うために、上記のチャートから、各年の高値と安値を抽出してまとめた表が下記になります。
4月のポンドドル相場 | 高値 | 安値 |
---|---|---|
1997年 | 1.65500 | 1.61540 |
1998年 | 1.69720 | 1.65450 |
1999年 | 1.62370 | 1.58380 |
2000年 | 1.60720 | 1.55000 |
2001年 | 1.45000 | 1.41350 |
2002年 | 1.46330 | 1.42460 |
2003年 | 1.60220 | 1.54590 |
2004年 | 1.86000 | 1.75780 |
2005年 | 1.92150 | 1.86710 |
2006年 | 1.82580 | 1.72490 |
2007年 | 2.01320 | 1.95890 |
2008年 | 2.00460 | 1.95980 |
2009年 | 1.50670 | 1.42720 |
2010年 | 1.55215 | 1.51247 |
2011年 | 1.67448 | 1.59711 |
2012年 | 1.63005 | 1.58045 |
2013年 | 1.55666 | 1.50334 |
2014年 | 1.69002 | 1.65534 |
2015年 | 1.54976 | 1.45655 |
2016年 | 1.46702 | 1.40050 |
ご覧いただくとお分かりの通り、1ヶ月の間に、かなり大きな値動きをしている月が複数存在しまして、例えば、それまで続いていたドル高が大きく反転しはじめた2015年の4月には安値1.45655から高値1.54976まで、1ヶ月の間に「6.1%」の”ポンド高”が起こっています。
また、世界経済が好調に推移し、ポンド高が一段と進んだ2006年の4月には、安値1.72490から高値1.82580まで、1ヶ月の間に「5.6%」の”ポンド高”が起こっています。
そして、それらを含めて、ポンドドルの各年の4月相場の変動幅と変動率をまとめた表が下記になります。
4月のポンドドル相場 | 変動幅 | 変動率 |
---|---|---|
1997年 | 0.0396 | 2.4% |
1998年 | 0.0427 | 2.6% |
1999年 | 0.0399 | 2.5% |
2000年 | 0.0572 | 3.6% |
2001年 | 0.0365 | 2.6% |
2002年 | 0.0387 | 2.7% |
2003年 | 0.0563 | 3.6% |
2004年 | 0.1022 | 5.5% |
2005年 | 0.0544 | 2.9% |
2006年 | 0.1022 | 5.6% |
2007年 | 0.0543 | 2.7% |
2008年 | 0.0448 | 2.3% |
2009年 | 0.0795 | 5.3% |
2010年 | 0.0396 | 2.6% |
2011年 | 0.0773 | 4.7% |
2012年 | 0.0496 | 3.1% |
2013年 | 0.0533 | 3.5% |
2014年 | 0.0346 | 2.1% |
2015年 | 0.0932 | 6.1% |
2016年 | 0.0665 | 4.6% |
平均 | 0.0665 | 4.6% |
平均変動幅と平均変動率はそれぞれ「0.0665」と「4.6%」となっておりまして、1997年から2016年のポンドドル相場の1月の平均変動幅「0.07144」、平均変動率「4.3%」とほぼ互角の値動きをしています。
参考/ポンドドルの1月相場はポンド高?ポンド安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/ポンドドルの2月相場はポンド高?ポンド安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/ポンドドルの3月相場はポンド高?ポンド安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
1997年~2016年の4月相場の値動きから考えるポンドドルのトレード戦略
ここまで過去約20年の4月のポンドドル相場の動向をご覧いただきましたが、いかがでしたでしょうか。
これまでの傾向に過ぎないという前提はありますが、4月相場は、とにかくにもファースト・セレクションは、「ポンド買い」ということになりそうです。
あの”ブレクジット”のときですら、ポンド高で終わっていることを考慮しますと、どんなに材料的にポンド売りが出ていたとしても、基本的にはポンド買いスタンスで臨む方が良さそうです。
もちろん、いかなる相場にも”絶対”がないように、ポンドドル相場の4月相場も、これまでの傾向がここからも続くということは断言できませんが、ただ一方で、約20年近く続いているアノマリーが、今後も20年続く可能性も否定はできないかと思います。
ストップロスやポジションサイズに十分に注意を払いつつ、トレードのチャンスを”モノ”にしたいところですね。
本記事が、FXでトレードをしている人や、これからトレードをしようと考えている人の参考になれば、幸いです。
最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました!