欧米勢の多くの企業にとっては、第3クォーターが終了となる「9月相場」
今回は、そんな9月相場の実態を探るべく、1997年から2016年までの「9月」のポンドドル相場が、どんな値動きをしてきたのかを実際のデータをもとに検証してみました。
早速、見ていきましょう。
1997年~2016年における9月のポンドドル相場
まず、最初にご覧いただくのは、1997年から2016年までの9月のポンドドル相場がポンド高、ポンド安のどちらに動くことが多かったかを単純にカウントしてみた表になります。
1997年から2016年の月足チャートは下記の通りです。
データ出所/GMOクリック証券
そして、上記のチャートから毎年9月の始値と終値を抽出して、その結果がポンド高だったのか、ポンド安だったのかを時系列でまとめたものが下記の表になります。
9月のポンドドル相場 | レート(始値⇒終値) | 結果 |
---|---|---|
1997 | 1.61250⇒1.61800 | ポンド高 |
1998 | 1.68100⇒1.69810 | ポンド高 |
1999 | 1.60310⇒1.64720 | ポンド高 |
2000 | 1.44700⇒1.47580 | ポンド高 |
2001 | 1.45200⇒1.47360 | ポンド高 |
2002 | 1.54990⇒1.56830 | ポンド高 |
2003 | 1.57850⇒1.66160 | ポンド高 |
2004 | 1.80190⇒1.81160 | ポンド高 |
2005 | 1.80360⇒1.76390 | ポンド安 |
2006 | 1.90440⇒1.87190 | ポンド安 |
2007 | 2.01610⇒2.04710 | ポンド高 |
2008 | 1.81100⇒1.78030 | ポンド安 |
2009 | 1.62870⇒1.59811 | ポンド安 |
2010 | 1.53469⇒1.59811 | ポンド高 |
2011 | 1.62459⇒1.55825 | ポンド安 |
2012 | 1.58803⇒1.61676 | ポンド高 |
2013 | 1.55189⇒1.61839 | ポンド高 |
2014 | 1.65891⇒1.62119 | ポンド安 |
2015 | 1.53428⇒1.51267 | ポンド安 |
2016 | 1.31353⇒1.29785 | ポンド安 |
こうして並べてみますと、かなり興味深い傾向があることが分かります。
まず、目を引くのが1997年から2007年の11年間のうち、なんと約81%の確率に相当する9年で、ポンド高で終わっている一方で、2008年から2016年の9年については、9年中、6年がポンド安に終わっているという点です。
ご存知の通り、2008年の9月と言えば、リーマンショックがあった年で、ちょうど2008年を境に、潮目が変わるかのように、ポンド高、ポンド安のトレンドが切り替わっているように見えます。
この20年間、NY同時多発テロ、ITバブル崩壊、世界的な好景気と資源高、サブプライムローン危機、欧州の財政危機に端を発する金融危機、イギリスのEU離脱を巡る国民投票、テーパリング開始後の米ドル独歩高などポンドにとって、追い風、あるいは逆風となる様々な要因があったにも関わらず、こうした傾向が出ているというのは、特筆すべき点と言えるかと思います。
では、その背景に何があったのかということですが、様々な”偶然”が重なったアノマリー的な要素も、もちろんあるかと思いますが、リーマンショックを境に実需やファンドなどのポンドドルに対する見方や動きに何らかの変化が生まれた可能性は否定できないかと思います。
そして、ここ20年の9月のポンドドル相場のポンド高、ポンド安の回数をまとめた表は下記の通りです。
9月のポンドドル相場 | ポンド安に終わった回数 | ポンド高に終わった回数 |
---|---|---|
1997-2016 | 8回 | 12回 |
1997年から2016年の20年間については、回数としては、ややポンド高米ドル安が優勢といった結果に終わっています。
では、続いて、その中身について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。
1997年~2016年における9月のポンドドル相場の変動幅と変動率
それでは、今度はポンドドルの9月相場がどのくらいの変動が起こっているのか、つまり、ボラティリティがどれくらいなのかということを検証していきたいと思います。
その検証を行うために、上記のチャートから、各年の高値と安値を抽出してまとめた表が下記になります。
9月のポンドドル相場 | 高値 | 安値 |
---|---|---|
1997年 | 1.62950 | 1.57750 |
1998年 | 1.71450 | 1.65100 |
1999年 | 1.65120 | 1.59780 |
2000年 | 1.47960 | 1.39450 |
2001年 | 1.47690 | 1.44050 |
2002年 | 1.57390 | 1.52830 |
2003年 | 1.67550 | 1.56150 |
2004年 | 1.81570 | 1.77070 |
2005年 | 1.84950 | 1.75640 |
2006年 | 1.90770 | 1.86020 |
2007年 | 2.04890 | 1.98790 |
2008年 | 1.86660 | 1.74450 |
2009年 | 1.67409 | 1.57686 |
2010年 | 1.59213 | 1.52959 |
2011年 | 1.62724 | 1.53266 |
2012年 | 1.63090 | 1.58256 |
2013年 | 1.62020 | 1.55051 |
2014年 | 1.66431 | 1.60513 |
2015年 | 1.56578 | 1.51073 |
2016年 | 1.34447 | 1.29145 |
ご覧いただくとお分かりの通り、1ヶ月の間に、かなり大きな値動きをしている月が複数存在しまして、例えば、リーマンショックが起こった2008年の9月は、高値1.86660から安値1.74450まで、1ヶ月の間に「6.6%」のポンド安が起こっています。
また、欧州の財政危機に端を発する金融危機がマーケットを混乱をもたらし、欧州全体に対する悲観的な見方が強まった2011年9月には、高値1.62724から安値1.53266まで、1ヶ月の間に「5.9%」のポンド安が起こっています。
そして、それらを含めて、ポンドドルの各年の9月相場の変動幅と変動率をまとめた表が下記になります。
9月のポンドドル相場 | 変動幅 | 変動率 |
---|---|---|
1997年 | 0.052 | 3.2% |
1998年 | 0.0635 | 3.8% |
1999年 | 0.0534 | 3.3% |
2000年 | 0.0851 | 5.8% |
2001年 | 0.0364 | 2.5% |
2002年 | 0.0456 | 2.9% |
2003年 | 0.114 | 6.9% |
2004年 | 0.045 | 2.5% |
2005年 | 0.0931 | 5.1% |
2006年 | 0.0475 | 2.5% |
2007年 | 0.061 | 3% |
2008年 | 0.1221 | 6.6% |
2009年 | 0.09723 | 5.9% |
2010年 | 0.06254 | 4% |
2011年 | 0.09458 | 5.9% |
2012年 | 0.04834 | 3% |
2013年 | 0.06969 | 4.4% |
2014年 | 0.05918 | 3.6% |
2015年 | 0.05505 | 3.6% |
2016年 | 0.05302 | 4% |
平均 | 0.0679 | 4.1% |
平均変動幅と平均変動率はそれぞれ「0.0679」と「4.1%」となっておりまして、1997年から2016年のポンドドル相場の1月の平均変動幅「0.07144」、平均変動率「4.3%」と比べると、やや互角という状況になっています。
参考/ポンドドルの1月相場はポンド高?ポンド安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/ポンドドルの2月相場はポンド高?ポンド安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/ポンドドルの3月相場はポンド高?ポンド安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/ポンドドルの4月相場はポンド高?ポンド安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/ポンドドルの5月相場はポンド高?ポンド安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/ポンドドルの6月相場はポンド高?ポンド安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/ポンドドルの7月相場はポンド高?ポンド安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
参考/ポンドドルの8月相場はポンド高?ポンド安?1997年から2016年までの変動幅・変動率のまとめ
1997年~2016年の9月相場の値動きから考えるポンドドルのトレード戦略
ここまで過去約20年の9月のポンドドル相場の動向をご覧いただきましたが、いかがでしたでしょうか。
これまでの傾向に過ぎないという前提はありますが、ポンドドルの9月相場については、基本的にポンド売り米ドル買いのスタンスになるかと思います。
ただ、リーマンショックのような大きな転換点があったときには、そのトレンドがそれを契機に、反転する可能性があるということは意識しておきたいところです。
ご存知の通り、2016年にイギリスはEU離脱を国民投票で決定しましたが、この決定が今後、ポンドドルの9月相場の値動きのトレンドを反転させる可能性は十分に考えられます。(つまり、ポンド買い米ドル売り)
そして、一度出来た流れは、数年は続くという傾向を利用しながら、リスクリターン及び、ストップロスやポジションサイズに十分に注意を払い、是非ともチャンスをものにしたいところですね。
本記事が、FXでトレードをしている人や、これからトレードをしようと考えている人の参考になれば、幸いです。
最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました!