FXでトレードをするにあたって知っておきたいポイントとして、一体、自分にとっての妥当なレバレッジがどの辺りにあるのかという点が挙げられます。
日々、入金されるスワップポイントを楽しみにしようとしている長期スタンスのFX投資家にとって、夜、安心して眠ることができるレバレッジの水準はどれくらいでしょうか?
あるいは、スイングトレーダーが、感情に左右されずに自分で決めたルールでトレードをするための目安となるレバレッジはどれくらいが理想的なのでしょうか?
結論から申し上げれば、妥当なレバレッジについては、個々人の資金量、投資スタンス、リスク許容度などにより異なってきますので、正解はありません。
しかしながら、”自分にとって”妥当なレバレッジとなる目安を探る方法は、存在します。
早速、見ていきましょう。
FXで妥当なレバレッジを考えるときの3大ポイント
FXで自分にとって、妥当なレバレッジを考えるときには、大きく分けて3つの重要なポイントがありまして、それが、「通貨ペア」「時間」「ボラティリティ」になります。
順番に見ていきたいと思います。
FXで妥当なレバレッジと通貨ペア
FXは外国の通貨に対して、「買い」や「売り」といった投資を行う取引になりますので、その取引の対象となる通貨の価値は、妥当なレバレッジを考える上でとても重要なポイントになります。
話をシンプルにするために、例えば、今、クロス円と呼ばれる、米ドル/円やユーロ/円、豪ドル/円、ランド/円といった通貨ペアでトレードをすることを前提にレバレッジと通貨の価値について考えてみたいと思います。
まずは、下記のイメージをご覧ください。
通貨の価値は、ざっくりと言ってしまいますと、その国の相対的な強さを表していると、お考え頂ければ大丈夫かと思います。
世界の基軸通貨であり、最もその価値が高いと判断できるのは、説明不要の米ドルです。
そして、それに続く通貨といえば、ユーロや円、ポンド、スイスフラン、カナダドルといった通貨になりまして、その後には、オーストラリアの豪ドル、ニュージーランドのNZドル、最後に、新興国通貨のトルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソなどが並んでいるといった状況です。
では、なぜFXで妥当なレバレッジを考える上で通貨の価値を考えることが重要かと言いますと、外貨を持つということは、究極的には、その国の通貨の先行きに対する安全性と密接に絡んでくるからです。
例えば、米ドルは世界の基軸通貨ですが、仮にアメリカ経済が多少、悪くなっても米ドルが近い将来にその価値が大幅に下落してしまうというのは、極めて可能性が低く、例えば米ドル/円が1ドル30円になるようなことは、よほどのことがない限り起こらないことは容易に想像がつくかと思います。
では、高金利通貨として人気のあるトルコリラの場合は、どうでしょうか?
トルコリラは、過去に通貨の切り下げを行ってきたり(2005年に切り下げを行い、リラの価値は暴落)、高いインフレに悩まされたりと、その通貨としての先行きに対する安全性は、米ドルなどに比べると、かなり低いと言わざるを得ません。
例えば、上記のチャートは、トルコリラの政策金利の過去40年の推移ですが、かつては70%!を超える時代がありまして、再びそうした状況になれば、トルコリラの相対的な通貨としての価値は、恐らく暴落することになるでしょう。
ここまで、ご覧頂きましたように、例えば、世界の基軸通貨でもある米ドルと通貨の切り下げなどのリスクもあるトルコリラに投資するのでは、妥当なレバレッジに対する考え方を、かなり変える必要があるということです。
特に、高金利通貨のトルコリラや南アフリカランド、豪ドル、NZドルなどに高いレバレッジをかけて、投資を行う場合は、最大限の注意を払う必要があります。
また、逆に言えば、米ドルやユーロなどの先進国通貨に対しては、レバレッジをある程度、高くしてトレードしても、新興国通貨に比べると、そのリスクは限定的ということになります。
FXで妥当なレバレッジと時間
FXでトレードを行うときに、今週中でポジションをすべて決済しよう・・、夏までにはすべてのポジションを閉じるつもり・・といった風に「時間」をベースにトレードを行う人は少なくありません。
そして、妥当なレバレッジを考えるときにも、「時間」という概念は非常に重要になってきます。
例えば、下は豪ドル/円の2003年から2016年にかけての長期チャートになりますが、上は110円から下は50円まで値動きがあることがお分かり頂けるかと思います。
ただ、1年や3ヶ月、1週間、1日、30分といった単位で見てみますと、ほとんどのケースで、110円から50円といった大きな動きが起きていません。
リーマンショックがあった2008年10月にはたった1ヶ月で85円から55円の30円といった信じられないような変動が起こりましたが、過去13年、もっと言えば、過去数十年単位で見ても、非常に稀なケースです。
つまり、トレード対象となる時間が短ければ短いほど、その通貨の変動率は下がる傾向にありますので、レバレッジを高くして、トレードを行っても、基本的にはリスクは限定的です。
先ほど同様、レバレッジと時間の関係を表にまとめてみますと、上のようになります。
ご覧いただきました通り、一番やってはいけないのは、高いレバレッジをかけたまま、本来想定していた時間の枠を超えて、ポジションを抱えてしまうことです。
実際に筆者も過去に、短期トレードのつもりでレバレッジを高くしてトレードを行ったところ、思わぬ変動に巻き込まれ、損切りができずに、当初の想定よりもかなり長い時間ポジションを抱えて、損を拡大させてしまい、最終的に大きな損失に発展させてしまったことがあります。
スキャルピングやデイトレードなどで、高いレバレッジをかけてトレードするという人もいるかと思いますが、そういった方は、時間に対するリスクについては、かなり強く意識しておく必要があります。
逆に、時間を意識しないでトレードをしたいという人は、レバレッジを1~2倍近くまで下げてトレードをすると、リスクをかなり抑え込むことができます。
参考/レバレッジ1倍の証拠金によるFXでの運用と外貨預金の比較のまとめ
FXで妥当なレバレッジとボラティリティ
FXに限らず、相場の名のつくところには、度々「ボラティリティ」という言葉が出てきますが(ご存知のない方に、極めて簡単に説明しますと、ボラティリティとは「変動率」のことを意味しています。)、このボラティリティが高いときと低いときで、レバレッジに対する考え方も変わってきます。
相場のボラティリティが上昇する理由には、中央銀行によるサプライズ要素の強い金融政策やショッキングな経済事件、地震などの自然災害など様々なものがありますが、ボラティリティが上昇しているときは、レバレッジの管理は、きわめて慎重に行う必要があります。
記憶に新しいところでは、リーマンショックのときに、ボラティリティがとんでもないレベルまで上昇したことがありましたが、例えば、ボラティリティが高いときに、高いレバレッジで安易な逆張りを行うと、大きな損失に繋がりかねませんので、十分、注意する必要があります。
ただ、見方を変えれば、高いボラティリティが発生するときは、そのトレンドに乗ることができれば、短期間で大きな利益を生むことができる大きなチャンスでもありますので、自分の相場観に自信があるときには、敢えて、”チャレンジ”するというのも一つの選択肢ではあります。
もちろん、レバレッジには細心の注意を払う必要があるのは言うまでもありません。
まとめ
「FX初心者が妥当なレバレッジの目安を探るポイント3つ」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
FXでレバレッジを考えていく上で重要な「通貨ペア」「時間」「ボラティリティ」の3つを意識しながらトレードを行うことは、トレードの収益性にも大きな影響を与えますので、是非、参考にして頂ければと思います。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。