これからFXで長期投資をやってみたい!という方に向けて、今回は、長期投資のメリットや魅力とリスクについて説明してみたいと思います。
では、早速見ていきましょう。
長期投資を始めるためのチェック項目
編集部にて、長期投資をはじめるにあたってのチェック項目を表にまとめましたので、ご覧ください。
チェック項目 | 内容 |
---|---|
テクニカル分析 | テクニカル分析を取り入れるか否か |
ファンダメンタルズ分析 | ファンダメンタルズ分析を取り入れるか否か |
高金利通貨の暴落がおすすめ | スワップ金利とレート変動による利益 |
資金量 | 証拠金の規模 |
投資のタイミング | 東京・ロンドン・ニューヨーク |
FX口座 | サブとメインなど |
リスク | 取引する通貨ペアのボラティリティやレバレッジなどで管理 |
為替市場以外の相場のチェックについて | 株、商品など |
FXにおける長期投資とテクニカル分析
スキャルピングやデイトレードとは異なり、FXの長期投資をする人の中には、テクニカル分析を全く信用していないという方もいるかもしれません。
しかし、市場参加者の中には、テクニカル分析を信じている人が大勢いるというのも事実なので、全く興味がないという人でも、他の市場参加者がどんな風にトレードをしているのかということを知るだけでも、テクニカル分析を知る価値はあるかと思います。
筆者自身、数年単位で特定の通貨ペアに対して長期投資を行うことがありますが、市場が暴落している底を見極めるときなどには、テクニカル分析は有用だと実感することが少なくありません。
具体的には、月足や週足で長い舌ヒゲ付きのローソク足が出現したり、ボリンジャーバンドの-3σを超えてきたときなどです。
参考/FXでローソク足を見極める!十字線、小陽線、小陰線など
参考/ボリンジャーバンドのFXでの効果的な使い方とは?
テクニカル分析にはどんな種類があるのかということを詳しく知りたい方は、「FX初心者のためのテクニカル分析」を参考にして頂ければと思います。
FXにおける長期投資とファンダメンタルズ分析
FXで長期投資を行うときに決して欠かすことができないファンダメンタルズ分析。
例えば、GDPがマイナス成長が続いている・・、主要産業で低迷が続いている・・、主要な貿易相手国の経済が低迷している・・などなど、通貨の変動に大きな影響を与える各国の経済の基礎的条件をチェックしておくことはFXで長期投資をしていく際に、欠かせません。
また、自国の交易条件を少しでも有利にするために、各国の中央銀行や財務省などが政治的に為替市場に資金を投じる”為替介入”もファンダメンタルズの一つと言っていいでしょう。
例えば、ファンダメンタルズ分析の重要性が分かる最近の事例として、2015年の原油価格の急落に伴って起こったカナダドルの急落が挙げられます。
チャート出所/DMM FX
2014年の年末から2015年の年末にかけて、約1年程度の期間で100円から80円へ20円もの急落を演じており、仮にカナダ/円をロングしていた場合、いくら長期投資とは言え、ここまでファンダメンタルズに急激な変化が見られる場合は、速やかに”損切り”などの対応を行う必要があります。
逆に、カナダドルを保有しておらず、ファンダメンタルズ分析から原油価格の底打ちを確信できる場合には、そのタイミングを見計らって、買いポジションを段階的に作っていき、長期投資を行うという投資戦略も考えられます。
ファンダメンタルズの分析について、詳しく知りたいという方は、「FXにおけるファンダメンタル分析」をご覧ください。
FXにおける長期投資は高金利通貨の”暴落狙い”がおすすめ
FXで長期投資を行う場合、スワップ金利と為替レートの変動による”ダブル”での利益を狙ったトレードが最も魅力的なトレードとなります。
例えば、分かりやすい通貨ペアで言えば、NZ/円や豪ドル/円といった高金利通貨(2016年現在は”高金利”と呼べるほどの金利ではありませんが・・)が暴落したところを狙うというのが一つの方法です。
チャート出所/DMM FX
上記は2006年から2016年にかけてのNZドルのチャートですが、ご存じの通り、マーケットがリスク回避モードに入ったときに、NZドルは急落しやすいという特徴がありまして、リーマンショックやユーロ危機など、何か危機がある度に、急落します。
そして、そうした月間ベースで大きな下げが来たときこそ、長期投資の買い注文を入れる絶好のチャンスとなります。
もちろん、暴落の原因がどういった理由で起こっているのか-例えば、根本的に、この先、その国の経済が低迷しそうであるかどうか-という判断は必要ですが、メジャー通貨の場合は、リーマンショックのときがそうであったように、ある程度の暴落で済むことがほとんどです。
そう考えますと、”焦って”スワップ金利狙いをしようとして高値で掴み、急落時の損失で、せっかくのスワップ金利で得た収益を水の泡とするよりも、スワップ金利と為替レートの変動による利益のダブルを狙うことができる”暴落”局面をひたすら待つという方法が、おすすめというのがお分かり頂けるかと思います。
もちろん、腕に自信のある方であれば、暴落局面まではその通貨を”売り”で入り、底打ちを確認したときに、一転して、長期の買いに転じるという方法で”往復”で利益を手にすることも可能です。
ただ、クロス円のロングや高金利通貨と低金利通貨ペアの取引で、スワップ金利やレート変動による利益を長期的に狙う投資をしたいという場合は、暴落待ちが最も賢明な方法になるかと思います。
FXにおける長期投資と証拠金の額
FXにおける長期投資には証拠金が多い方が有利なのは間違いありませんが、ただ、投資対象の通貨ペアと入るタイミングが良ければ、少ない証拠金でも十分に大きな利益を狙うことができます。
チャート出所/DMM FX
下は2006年から2016年までの豪ドル/円のチャートになりますが、暴落局面で積極的かつ段階的に拾って行くことで、利益を段階的に伸ばすという戦略になります。
この方法は、小さな証拠金で作ったポジションから発生した”含み益”がベースとなりますので、上昇トレンドに乗ること、そして、戻りの局面で丁寧にポジションを拾っていけるかどうかが、カギとなります。
ちなみに、この方法は、下がったら買い増す=”ナンピン”と呼ばれる方法とは対照的な方法で、上がったら買い増す=ピラミディングという方法になりまして、上手く相場の波に乗れたときは大きな利益を手にすることができる方法として知られています。
ただ、この方法を使う場合は、どうしても購入平均単価が”切り上がって”いきますので、その点には十分、注意を払っておく必要があります。
FXにおける長期投資と投資タイミング
FXで長期投資のタイミングがいつが”ベスト・タイミング”なのかということは、なかなか難しいところで、上記でも説明させていただきましたが月間ベースで月初から月末にかけて”暴落”していて、かつ、過去の為替レートからみても、”値ごろ感”のある水準まで下がってきたところというところになるかと思います。
ちなみに、筆者は長期投資を行うときは、月末最終週の金曜日のNY時間を眺めながら、段階的にポジションを作り出すようにしています。
ただ、テクニカル分析などを行い、相場の状況があまりにも行き過ぎていると感じたときは、最終週よりも前に投資を行うこともあります。
FXにおける長期投資用の口座について
FXで長期投資を行うときに肝心になってくるのが、「スワップ金利」です。
少しの差であっても、長期的にはスワップ金利は日々積みあがってきますので、決して軽視はできません。
スワップポイントが多いFX会社を編集部にてまとめましたので、「スワップポイントが多いFX会社ランキング」より参考にして頂ければと思います。
FXにおける長期投資のレバレッジとリスク
FXにおける長期投資のリスクには幾つかのリスクがありますが、最も注意を払う必要があるのは、レバレッジ・リスクです。
スワップ金利狙いで仕掛けた長期投資が、為替レートの変動による損失で利益はおろか、ロスカットなどの憂き目にあってしまっては元も子もありません。
長期投資では、どんな急変動が待ち受けているか分かりませんので、特にボラティリティが高い新興国通貨(南アフリカランドやトルコリラ)に長期投資をする場合は、証拠金に対して、2~3倍以内のレバレッジは徹底したいところです。
また、高金利通貨の国のスワップ金利が下がるリスクも考慮しておく必要があります。
例えば、ランド円やトルコリラ円で、南アフリカやトルコが利下げを行い、日本が利上げをすると、金利差が狭くなりますので、それだけスワップ金利は少なくなります。
かつて、高金利通貨と呼ばれたNZドルや豪ドルがそうなってしまったように、長期投資では、金利の変化に対するリスクについても考慮しておく必要があります。
FXにおける長期投資と為替以外の相場について
FXで長期投資をする際に、為替相場以外の株式、商品、債券相場についてチェックすべきかどうかと問われますと、余裕がある方は是非すべきです。
特に、資源国通貨に投資する場合は、原油やゴールドなどの商品相場はチェックしておいた方がいいでしょう。
また、株式市場は多くのファンドが投資対象としており、株式市場でリスク選好、リスク回避的な動きが見られると、時間差で為替市場に波及してくるということが少なくありませんので、株式市場が暴落しているときなどは、長期投資のタイミングを計る上で”炭鉱のカナリア”としてチェックしておきたいところです。
ただ、チェック対象が増えすぎて、投資タイミングを計るのが難しくなってしまっては意味ががありませんので、その場合は、商品市場、株式市場、債券市場の中から最低限のチェック対象を選ぶという方法もあります。
まとめ
「FXにおける長期投資のメリットとレバレッジ・リスク」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
FXの長期投資は、投資する通貨対象とタイミングさえ”上手く”いけば、後は、何もすることなく口座を眺めているだけで済みますので、非常に楽な投資方法です。
筆者は、長期投資も短期投資も行いますが、精神衛生上、ストレスなくトレードできるのは、やはり長期投資ですし、長期投資があるおかげで短期投資でチャレンジできるという面があります。
今回の記事が、FXで長期投資を考えている方の参考になれば、幸いです。