FXの取引コストとなるスプレッドについては、最近ではFX業者の多くが原則固定といった形で、通常時はスプレッドを固定で配信していますが、スプレッドが広がる時間帯も存在します。
今回は、FX初心者向けにスプレッドが広がる時間帯と対処法について見ていきたいと思います。
では、早速見ていきましょう。
FXでスプレッドが広がる時間帯
FXでスプレッドが広がる時間帯として、代表的なものには下記のようなケースがあります。
具体例 | |
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重要な経済指標が発表されるとき | アメリカの雇用統計発表、FRBや日銀による金融政策発表、各国の消費者物価指数、GDP成長率など |
早朝 | 日本時間の朝6~7時前後 |
自然災害 | 地震、津波、竜巻など |
順番にもう少し詳しく見ていきましょう。
〇重要な経済指標が発表されるとき
重要な経済指標の発表は、様々な相場参加者にとってFXでの取引契機になることが多く、指標発表前後にポジションを決済したり、指標発表と同時にそれまでのポジションを反転させたり、あるいは、指標発表前後に新たにポジションを作ったりといったことが、世界中で同時に起こります。
新規注文と決済注文が世界中で入り乱れて起こるために、為替レートが一時的に大きく変動して、その結果、スプレッドも大きく拡大するということになります。
特に発表される経済指標が事前の予想と異なり、大きな”サプライズ”があったときなどは、相場が大荒れになり、スプレッドもかなり広がったりしますので、あえてスプレッドが広いときを狙ってトレードをするという人以外は、十分に注意する必要があります。
〇早朝
日本時間の早朝は、スワップポイントの支払いや受け取りが発生したり、NY時間のクローズ、ウェリントン市場のオープンなどが重なり、スプレッドが広がりやすい時間帯の一つです。
NYクローズ時間のデイトレ・ポジション決済や、ウェリントン市場でのニュージーランドやオーストラリアの指標発表は、相場の参加者が少ないところに、大きな値動きがあったりして、一気にスプレッドが広がりやすくなることがあります。
また、スワップポイントについては、スワップを受け取って、すぐに同値撤退というトレードを防ぐために、FX業者が早朝のスプレッドを広げているという事情も考えられます。
〇自然災害
FXの舞台である為替市場では土日を除くほぼ24時間、相場が動いていますので、世界各地で起こる突発的な自然災害が、為替相場に変動をもたらすことがあります。
スプレッドが大きく広がるような自然災害は滅多に起こることがありませんが、スプレッドが大きく広がるような自然災害が起こったときは、ポジションの管理には冷静に対処したいところです。
FXでスプレッドが広がる時間でのトレードについて
スプレッドが広がる時間帯にトレードをすると、自分が思ってもないレートで約定したりすることがありますが、中でも特に「成り行き注文」には注意が必要です。
筆者自身、過去にスプレッドが大きく広がった時間帯に、「えい!やっ!」でポジションを成り行きで決済したり、ポジションを建てたりした経験がありますが、画面に表示されているレートやスプレッドから、かなり乖離したレートで約定したことが何度もあります。
そんなときは、スリッページなどを上手く使いながら、スプレッドの拡大やレートの変動に対処したいところです。
FXでスプレッドが拡大したときはスリッページを設定で対処する
では、実際にどんな風にスプレッドが拡大した時に対処するのかということを、DMM FXのトレード画面を見ながら、確認していきましょう。
初期設定の状態では、スリッページの機能がオフになっているかと思いますので、まずは、この機能をONにします。
スリッページの機能をONにする方法は極めて単純で、下記のように、スリッページを許容する幅を決めるだけになります。
スリッページの機能は、注文価格と約定価格に開きがある場合に、その注文は約定させないということになりますので、例えば、上記の場合は、売り(Bid)注文の場合は、85.558~85.578の間、買い(Ask)注文の場合は、85.565~85.585の間以外は、注文しないということになります。
筆者はスリッページ機能を使うのは、スプレッドが広がったときというよりは、相場の変動が大きいときに成り行き注文を出すときですが、スプレッドが広がるときは、概して相場が大きく変動しているときですので、自分にとって不利なレートやスプレッドで約定させたくないときは、使ってみることをおすすめします。
FXでスプレッドが広がる時間帯=トレードの契機として利用するという手も
ここまでは、スプレッドが広がる時間帯をできるだけ避けたり、注意するという方法を見てきましたが、スプレッドが広がる時間帯をトレード契機として、利用するという方法も紹介しておきたいと思います。
先ほど述べたように、スプレッドが広がるときは、相場の転換点になるような重要な経済指標の発表があるときが多く、スプレッドが広がった直後から、相場にトレンドが発生することも少なくありません。
例えば、筆者がスプレッドの拡大を利用してトレードした例としては、2015年12月上旬にECBが量的緩和を発表した直後のユーロ/ドルの動きがありました。
ECBが量的緩和を発表した直後はスプレッドが広がりユーロは売られましたが、マーケットは、「噂で売って事実で買い戻す」を絵に描いたような展開となり、それまでほぼ一本調子で売られていたユーロに強烈な買い戻しが入ります。
筆者は、発表当日ECBの発表後の相場を眺めながらユーロ買いで参戦し、しばらく経った後に、ささやかな利益をもたらしてくれたポジションを決済しました。
スプレッドが広がる時間帯に”やみくも”にトレードするのは決しておすすめできませんが、スプレッドが広がった直後に、トレードを仕掛けていくというのも一つの戦略になります。
まとめ
「FXでスプレッドが広がる時間帯と対処法について」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
読者の方のトレードの参考になれば、幸いです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!