最近では中国経済とのつながりが深いことから中国経済の動向にも影響を受けることもある豪ドル米ドル(AUD/USD)。
一方で、資源国通貨として取引されることも多く資源価格の上昇が進むときには、急激に買われる場面もあったりします。
そこで、本記事では過去の豪ドル米ドル(AUD/USD)のトレンドの実態を探るべく、「月足」をベースに豪ドル米ドルの陽線や陰線がどれだけ連続したことがあるのかということを回数や値動き、変動率でまとめてみました。
月足ベースでトレードの戦略を組み立てているという方などを対象に、トレードのヒントにして頂ければと思います。
では、早速見ていきましょう。
豪ドル米ドルの連続する月足陽線と月足陰線の回数~1997年から2016年~
下記は、1997年から2016年の月足チャートになります。
データ出所/GMOクリック証券
そして、上記のチャートをもとに、単純に陽線あるいは陰線が続いた回数をカウントしたのが、下記の表になります。
連続した数 (豪ドル米ドル) | 陽線 | 陰線 |
---|---|---|
3ヶ月 | 8回 | 7回 |
4ヶ月 | 1回 | 2回 |
5ヶ月 | 1回 | 3回 |
6ヶ月 | 2回 | 0 |
7ヶ月 | 0 | 1回 |
8ヶ月 | 0 | 0 |
9ヶ月 | 0 | 1回 |
10ヶ月 | 1回 | 0 |
合計 | 13回 | 14回 |
筆者がまず最初に注目したポイントは、豪ドル米ドルが月足で、過去20年の間、3ヶ月以上陽線あるいは陰線が連続した回数が、それほど多くないという点です。
他の通貨ペアに比べて、回数的に少ないということはないのですが、8ヶ月や10ヶ月といった一方的に連続する長期の動きが、もう少し多いかと思いましたが、意外にも3ヶ月~4ヶ月の連続陰線あるいは陽線に集中していました。
資源国通貨ということで荒い値動きをしているイメージを持っていましたが、それほどでもなかったようです。
とは言いましても、6ヶ月続いた陽線が2回、5ヶ月以上続いた陰線が3回ありますので、ボラティリティの大きい豪ドル米ドルらしい実績もしっかりと残しています。
順張りのトレード(連続する陰線や陽線を狙うトレード)のスタンスとしては、豪ドル買いを仕掛けるときは手仕舞いは3ヶ月を目途に、豪ドル売りについては、3ヶ月~5ヶ月が目途になりそうです。
一方で逆張り(トレンドの反転を狙うトレード)で仕掛ける場合は、ロングは変動率にもよりますが、6ヶ月陽線が連続した後、ショートは5ヶ月を一つの節目としてエントリーするというスタンスになりそうです。
連続する月足陽線と月足陰線の値幅と変動率~1997年から2016年~
では、続いては、上記の連続した陽線と陰線の値動きについて、もう少し詳しく見ていくことにしましょう。
2ヶ月連続で続いた陽線と陰線は回数が多いため省略し、3ヶ月連続で陽線あるいは陰線が続いた期間と、その期間中の値幅と変動率について見ていきたいと思います。
〇連続した月足陽線の値幅と変動率
まず、最初にご覧いただくのは豪ドル米ドルの連続した陽線の値幅と変動率になりまして、それを表にまとめたものが、下記になります。
連続した陽線 (豪ドル米ドル) | 値幅 | 上昇率 |
---|---|---|
1998.9~1998.11(3ヶ月) 始値0.56630⇒終値0.62830 | +0.062 | +10.94% |
2002.2~2002.5(4ヶ月) 始値0.50700⇒終値0.56750 | +0.0605 | +11.93% |
2003.4~2003.6(3ヶ月) 始値0.60400⇒終値0.67360 | +0.0696 | +11.52% |
2003.9~2004.2(6ヶ月) 始値0.64670⇒終値0.77360 | +0.1269 | +19.62% |
2004.7~2004.12(6ヶ月) 始値0.69860⇒終値0.78010 | +0.0815 | +11.66% |
2007.2~2007.4(3ヶ月) 始値0.77780⇒終値0.83000 | +0.0522 | +6.71% |
2008.4~2008.6(3ヶ月) 始値0.91290⇒終値0.95830 | +0.0454 | +4.97% |
2009.2~2009.11(10ヶ月) 始値0.63600⇒終値0.91582 | +0.2798 | +43.99% |
2010.2~2010.4(3ヶ月) 始値0.87981⇒終値0.92415 | +0.04434 | +5.03% |
2011.2~2011.4(3ヶ月) 始値0.99720⇒終値1.09690 | +0.0997 | +9.99% |
2012.9~2012.11(3ヶ月) 始値1.02944⇒終値1.04269 | +0.01325 | +1.2% |
2014.2~2014.6(5ヶ月) 始値0.87666⇒終値0.94307 | +0.06641 | +7.5% |
2015.10~2015.12(3ヶ月) 始値0.70138⇒終値0.72849 | +0.02711 | +3.8% |
値上がりの大きさで目立つのは、リーマンショック後の悲観の大底からリバウンドを見せた2009.2~2009.11(10ヶ月)の「+43.99%」や世界的に資源価格が底打ちを見せ始めた2003.9~2004.2(6ヶ月)の「+19.62%」など、悲観の大底局面からの立ち上がり局面において、期間や値幅、上昇率などで驚異的な値動きを見せています。
ただ、上記2つの豪ドル急騰相場を除けば、過去約20年間で、陽線が連続した期間のほとんどは3~4ヶ月、変動率で+10%前後となっていることから、トレンド相場終焉の節目については、それらの数値を意識しておけば良さそうです。
では、続いては陰線の方も見てみましょう。
〇連続した月足陰線の値幅と変動率
連続した陰線 (豪ドル米ドル) | 値幅 | 下落率 |
---|---|---|
1997.4~1997.12(9ヶ月) 始値0.78560⇒終値0.65050 | -0.1351 | -17.2% |
1998.2~1998.8(7ヶ月) 始値0.68210⇒終値0.56800 | -0.1141 | -16.8% |
2000.1~2000.5(5ヶ月) 始値0.65650⇒終値0.57220 | -0.0843 | -12.9% |
2000.7~2000.10(4ヶ月) 始値0.59720⇒終値0.52010 | -0.0771 | -13% |
2001.1~2001.3(3ヶ月) 始値0.55900⇒終値0.48510 | -0.0739 | -13.3% |
2004.3~2004.6(4ヶ月) 始値0.77280⇒終値0.69850 | -0.0743 | -9.7% |
2005.10~2005.12(3ヶ月) 始値0.76190⇒終値0.73260 | -0.0293 | -3.9% |
2008.7~2008.11(5ヶ月) 始値0.95830⇒終値0.65420 | -0.3041 | -31.8% |
2012.3~2012.5(3ヶ月) 始値1.0730⇒終値0.97315 | -0.09985 | -9.4% |
2013.4~2013.8(5ヶ月) 始値1.04104⇒終値0.89028 | -0.15076 | -15.5% |
2013.11~2014.1(3ヶ月) 始値0.94540⇒終値0.87543 | -0.0699 | -7.5% |
2014.11~2015.1(3ヶ月) 始値0.87527⇒終値0.77642 | -0.09885 | -11.3% |
2015.7~2015.9(3ヶ月) 始値0.77047⇒終値0.70145 | -0.06902 | -9% |
2016.10~2016.12(3ヶ月) 始値0.76580⇒終値0.72015 | -0.04565 | -6% |
連続する陰線の値動きで目を引くのは、2008.7~2008.11(5ヶ月)のリーマンショックなどに代表されるアメリカ発の金融危機の局面の「-31.8%」やLTCMショックで相場が揺れに揺れた1997.4~1997.12(9ヶ月)の「-17.2%」で、どちらの相場も値動き、下がり続けた期間ともに目を見張る相場になっています。
また、世界に先駆けて利上げを続けてきたオーストラリアが、中国経済の失速に歩を合わせるように、利下げに転じ始めた2013.4~2013.8(5ヶ月)にも「-15.5%」という大暴落を演じています。
なお、連続する陰線の場合は、上記以外の豪ドル売り相場でも値動きが大きく「-15%」に迫ることが度々ありますので、逆張りで入るときには、特に注意したいところです。
豪ドル米ドルの連続する月足陽線と月足陰線の出現頻度について~1997年から2016年~
では、ここからは、連続する月足陽線と月足陰線を一つの”かたまり”としてみて、どんなときに月足陽線や月足陰線が続きやすいのかということを見ていきたいと思います。
それを確かめるために、上記でまとめた表を時系列で並べたものが下記になります。
赤色が豪ドル高米ドル安、青色が豪ドル安米ドル高を表しています。
こうして時系列で並べてみますと、幾つか興味深いことがありまして、例えば、1997年のLTCMからアジア通貨危機、ITバブル崩壊に至る2001年まではリスク回避ムードが強まり、6回中5回で青色が出ていまして、これは、月足で3ヶ月以上の連続する陰線が約4年の間に、5回も出現するほど豪ドルが売られ米ドルが買われたことを意味しています。(1997.4~2001.3)
また、2009年以降の世界金融危機の大底からのリバウンド相場では、2012年の年末までの約4年間では、3ヶ月以上の月足陽線が5回中4回出現するほど豪ドル高米ドル安が続いたことが分かります。
月足以上の大きな流れを汲んで、息の長いトレードを仕掛ける場合、過去にこうした偏った動きがあったということは、大いに参考になりそうです。
まとめ
「豪ドル米ドルの連続する月足陽線と月足陰線の回数・値幅・変動率のまとめ」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
筆者は普段のトレードでは、ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析、そしてアノマリーに近い値動き分析などをもとにトレードを仕掛けていますが、今回、豪ドル米ドルの月足の連続陽線と陰線を調べてみて、十分、勝算があるトレードを幾つか組み立てることができるように感じました。
特に悲観の大底から3ヶ月以上の陽線が月足で出た場合は、その後も豪ドル買いが強まる傾向にありますので、豪ドル買いでエントリーするタイミングを狙うヒントになりそうです。
読者の方にとっても、今回の分析が少しでもトレードのヒントになれば、幸いです。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました!