アメリカ経済の状態を推し量る上で最も重要な数値の一つであるアメリカ10年国債金利。
過去、アメリカの中央銀行であるFRBは、アメリカの10年国債の金利のボトムとピークに前後する形で、金融緩和(利下げ)、金融引き締め(利上げ)を行ってきておりまして、そして、アメリカの金融政策がドル円の動向にも大きな影響を与えてきました。
そこで、今回は、過去の米国10年国債金利とFRBによる金融政策、そして、ドル円の推移について、1971年から2016年までの動きを時系列で分析していきたいと思います。
早速見ていきましょう。
アメリカの10年国債金利の長期推移
まず、最初にご覧いただくのは、アメリカの10年国債金利の長期推移になります。(1971年-2016年)
出典/10-Year Treasury Constant Maturity Rate -Federal Reserve Bank of St. Louis-
そして、上記の長期チャートに10年国債金利のボトムを注記したチャートが下記になります。
出典/10-Year Treasury Constant Maturity Rate -Federal Reserve Bank of St. Louis-
直近では、2016年の6月にアメリカの10年国債金利は最低金利を更新しています。
そして、上記の長期チャートに10年国債金利のピークを注記したチャートが下記になります。
出典/10-Year Treasury Constant Maturity Rate -Federal Reserve Bank of St. Louis-
直近のアメリカの10年国債金利のピークは2013年の12月となっています。
アメリカの10年国債金利とFFレートの長期推移
では、上記の米国10年国債金利のピークとボトムをもとにして、今度はアメリカのFFレートの長期推移を確認していきたいと思います。
下記がアメリカのFFレートの長期推移になります。(1971年-2016年)
出典/Effective Federal Funds Rate -Federal Reserve Bank of St. Louis-
そして、上記のFFレートのチャートに、アメリカ10年国債金利のボトムの時期を注記したチャートが下記になります。
出典/Effective Federal Funds Rate -Federal Reserve Bank of St. Louis-
過去、FRBは米国10年国債金利がボトムを打つ前後で利上げを通じて、金融引き締めへ動いていることがお分かり頂けるかと思います。
そして、下記はFFレートのチャートに、アメリカ10年国債金利のピークの時期を注記したチャートになります。
出典/Effective Federal Funds Rate -Federal Reserve Bank of St. Louis-
こちらも米国10年国差金利のピークに前後する形で利下げに動いていることがお分かり頂けるかと思います。
ただ、利下げについては、その期間、利下げの幅、利下げを始めるタイミングなどは、かなりバラツキがあるという状況になっています。
アメリカの10年国債金利とドル円の長期推移
では、続いて、今度はアメリカの10年国債金利の動向とドル円の長期推移について見ていきたいと思います。
まずはドル円の1971年から2016年までのチャートをご覧ください。
出典/Japan / U.S. Foreign Exchange Rate -Federal Reserve Bank of St. Louis-
そして、上記のドル円のチャートに、アメリカ10年国債金利のボトムの時期を注記したチャートが下記になります。
出典/Japan / U.S. Foreign Exchange Rate -Federal Reserve Bank of St. Louis-
続いて、上記のドル円のチャートに、アメリカ10年国債金利のピークの時期を注記したチャートもご覧ください。
出典/Japan / U.S. Foreign Exchange Rate -Federal Reserve Bank of St. Louis-
上記を見るだけですと、米国10年国債金利、アメリカの金融政策、そしてドル円との関係が掴みにくいかと思いますので、今度は、その推移を時系列の表にまとめてみました。
アメリカの10年国債金利とFFレートとドル円の長期推移
まず、最初にご覧いただくのは、米国10年国債金利がボトムを打ち、その後、FRBが金融引き締めに入り、そして、ドル円がピーク(ドル高円安)をつけるまでの過去の動向になります。
米国10年国債金利のボトム | 利上げの開始 | ドル円のピーク(円安) |
---|---|---|
1971年3月 | 1973年1月 | 1975年12月(305.67円) |
1976年12月 | 1977年8月 | 1980年4月(250.27円) |
1980年6月 | 1980年9月 | 1982年10月(271.61円) |
1983年5月 | 1984年4月 | 1985年2月(260.47円) |
1987年1月 | 1987年9月 | 1990年4月(158.45円) |
1993年10月 | 1994年2月 1997年3月 | 1998年8月(144.68円) |
1998年10月 | 1999年6月 | 2002年2月(133.64円) |
2003年6月 | 2004年6月 | 2007年6月(122.68円) |
2012年7月 | 2015年12月 | 参考/2015年6月(123.71円) 仮/2016年1月(121.686円) |
ご覧いただきました通り、アメリカが利上げを開始してから、「約3年程度」を目途に、ドル円が円安のピークを迎える傾向にあることがお分かり頂けるかと思います。
直近では、アメリカの10年国債金利がボトムを打った2012年7月の約3年後、FRBは利上げに動きましたが、再び、アメリカの10年国債金利は2016年6月に2012年7月を割り込む水準まで低下してきています。
仮に2015年の6月につけたドル円がピークだとすると、過去、はじめてFRBの利上げ前にドル円がピークを打ったということになる可能性が出てきています。
では、続きまして、米国10年国債金利がピークを過ぎてから、FRBが利下げを行い、そしてドル円がボトム(ドル安円高)をつけるまでの過去の動向をご覧ください。
米国10年国債金利のピーク | 利下げの開始 | ドル円のボトム |
---|---|---|
1970年5月 | 1970年11月 | 1973年3月(261.90円) |
1975年9月 | 1974年12月 | 1978年10月(183.63円) |
1980年3月 | 1980年5月 | 1981年1月(202.36円) |
1981年9月 | 1981年11月 | 1984年4月(225.20円) |
1984年6月 | 1984年11月 | 1988年11月(123.20円) |
1987年10月 | 1990年10月 | 1995年4月(83.68円) |
1994年11月 | 1995年7月 1998年9月 | 1999年12月(102.58円) |
2000年1月 | 2001年1月 | 2004年12月(103.81円) |
2006年5月 | 2007年9月 | 2011年10月(76.64円) |
2013年12月 |
短いときは、約8ヶ月というときもありますが、多くの場合、FRBが利下げを開始してから、「約3年から4年程度」を目途にドル安円高のボトムが訪れていることがお分かり頂けるかと思います。
なお、アメリカの10年国債金利の推移については、FRBのサイト内にある「Statistical Releases and Historical Data」のページから確認することができます。
まとめ
「米国10年国債金利とFRBの金融政策(利上げ・利下げ)の関係とドル円の動向まとめ」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
ドル円を中長期でトレードしているFXのトレーダーに参考にして頂ければと思います。
最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました!